主人公の本名は、中世フランドルの画家と同姓同名のヒエロニムス・ボッシュ(Hieronymus Bosch)である。作中では母親が名づけた。なお、ハリー(Harry)はもちろん、ヒエロニムスの短縮形である。
「画家ボッシュとの関係」については、こちらを参照
ほんとうの名付け親、作者コナリーは、なぜ「ヒエロニムス・ボッシュ」という変な名前を選んだのか。かれは、第1作の「ナイトホークス(The Black Echo)」を執筆中に、何気なく画家ボッシュとその作品のことを思い出したとして、次のように述べている。
Detail from The Garden of Earthly Delights
「快楽の園」(部分)
「簡単に言えば、それは悪夢の絵であり、罪の代償や誤った世界の探索だ。拷問と放蕩というダークで地獄のような光景に満ちた絵は、混沌とその結果について描かれている」(「ヒエロニムス・ボッシュ」マイクル・コナリー;三角和代訳、ミステリマガジン2010年7月号より)
つまり、コナリーは、その絵がまさに現在のロサンジェルスの姿そのものであり、餌を狩るものと餌になるもの双方を描いた悪夢の光景であり、いま自分がそこに描こうとしている殺害現場や、殺人事件の捜査、その中心にいる人物の心象が映し出されていることに気づいたのだった。
その光景を、画家ボッシュが俯瞰するごとく、主人公ハリー・ボッシュもまた見つめなければならない。さらに言えば、街娼であった母マージョリーは、我が身をその絵のような地獄世界に置いて生きたことを、画家ボッシュの名前を通して息子に伝えたかったのに違いない。
「ヒエロニムス・ボッシュ」の秘密 2に続く。
「快楽の園」 (The Garden of Earthly Delights), ヒエロニムス・ボッシュ
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投稿者: heartbeat
管理人の"Heartbeat"(=心拍という意味)です。私の心臓はときおり3連打したり、ちょっと休んだりする不整脈です。60代半ば。夫婦ふたり暮らし。ストレスの多かった長年の会社勤めをやめ、自由業の身。今まで「趣味は読書」といい続けてきた延長線で、現在・未来の「同好の士」に向けたサイトづくりを思い立ちました。どうぞよろしくお願いします。
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