ボッシュ・シリーズと音楽 その2

本シリーズには、ボッシュの大好きなモダンジャズはもちろん、その他にもたくさんの懐かしいスタンダードや名曲、こころに沁みる歌などが次々に登場する。それでは、シリーズ第3作「ブラック・ハート(The Concrete Blonde)」の中ごろのエピソードから紹介したい。

Calloway - Minnie the Moocherボッシュが悪党の住む高級アパートメントのロビーに入ると、「・・・中央に自動演奏しているグランドピアノが置かれている。ボッシュは、その曲がキャブ・キャロウェイのスタンダード・ナンバー、《エヴリバディ・ザット・カムズ・トゥ・マイ・プレイス・ハストゥ・イート》であるのに気づいた」 やれやれ、長いカタカナ名は読みづらい。 ―― Cab Calloway, “Everybody That Comes To My Place Has To Eat” (Everybody Eats When They Come to My House) in “Minnie the Moocher”(CD)

Nothing But the Bestボッシュは、挙動不審の刑事をひそかにつけ、とあるバーに足を踏み入れる。稼ぎのいい弁護士などがたむろする場所だ。すると・・・「ボッシュからは見えない位置にあるジュークボックスがシナトラの《サマー・ウィンド》を奏でており・・・」と、場所柄にぴったりと思えるようなBGMが流れている。 ―― Frank Sinatra, “Summer Wind” in ” Nothing But the Best”(CD)

続いて、ボッシュは不実な同僚刑事を詰問するため行きつけのレストランバー「レッド・ウィンド」にいく。このロケーションはたびたび作中で使われる。そこで・・・「ボッシュはいまいわれたことについて2、3分じっと考えた。バンドがビリー・ストレイホーン《おいしい生活》という曲で演奏をはじめたのを眺める。」

ボッシュは詰問を続けながら、「カルテットに視線をもどした。まだストレイホーンのナンバーをつづけており、いまは《ブラッド・カウント》を演奏していた。サックス奏者の演奏は職人芸だった。勘どころをつかんでおり、フレージングは明瞭だった」と、評価が述べられる。

Lush Life: Music of Billy Strayhorn 同僚刑事が立ち去ったあともボッシュはしばらく同じ場所にとどまり、もう一杯注文する・・・「カルテットは《レイン・チェック》を演奏しており、若干即興のリフを加えているのが、ボッシュの気にいった・・・」ここでは、ボッシュが聴いたパフォーマンスにけして劣らぬ名盤を紹介させてほしい。 ―― Billy Strayhorn, “Lush Life”,  “Blood Count” and “Rain Check” in “Lush Life Music of Billy Strayhorn”(CD performed by Joe Henderson)

ボッシュ・シリーズと音楽 その3 につづく。

 

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投稿者: heartbeat

管理人の"Heartbeat"(=心拍という意味)です。私の心臓はときおり3連打したり、ちょっと休んだりする不整脈です。60代半ば。夫婦ふたり暮らし。ストレスの多かった長年の会社勤めをやめ、自由業の身。今まで「趣味は読書」といい続けてきた延長線で、現在・未来の「同好の士」に向けたサイトづくりを思い立ちました。どうぞよろしくお願いします。