ボッシュの履歴書(12) 私立探偵

Sherlock Holmes, the most famous private detective
Sherlock Holmes,
the most famous private detective

2002年10月、LAPDを退職し、私立探偵となったボッシュ52歳。かつて銃弾に倒れ車椅子の生活を送る元同僚からの電話を受け、ボッシュは、かれ自身にとっても悔いの残る未解決事件の調査を始める。そして、そこに自分の使命を見出すことになる。「暗く聖なる夜(Lost Light)

ところが、事件とFBl捜査官失踪の関連を知ったボッシュは、LAPDとFBIの双方から厳しい警告を受ける。背後には予想を超える大きな動きが隠されていた。ボッシュは私立探偵という慣れない立場で、難解な事件の謎に迫っていく。本作でコナリーは一人称表現を用い、ボッシュの孤高さを見事に描いている。

暗く聖なる夜(上) (講談社文庫)暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)さて、「エンジェルズ・フライト」で別離したエレノア・ウイツシュは、そのとき妊娠していることをボッシュに告げていなかった。「暗く聖なる夜」でボッシュは、エレノア、そして娘のマディ(マデリン; Madeline “Maddie” Bosch)に会う。マディの存在が人間ハリー・ボッシュを劇的に変える。

baby-1151348_960_720-2「容赦なく何事にも屈しなかった男はいまや脆さを見せている。(中略) 彼は自分に娘がいたと知った。多くの点で以前とはすべてを一変させる過去のよすがである。娘をつうじてハリーの心に手を伸ばすこともできる。こうして物事は変化する。特にハリー本人が。」(「ヒエロニムス・ボッシュ」マイクル・コナリー(三角和代訳)ミステリマガジン2010年7月号より)

天使と罪の街(上) (講談社文庫)天使と罪の街(下) (講談社文庫)2004年4月、平穏な引退生活を送っていたはずのマッケイレブが不審死を遂げた。天使と罪の街(The Narrows)」の冒頭、私立探偵ボッシュは未亡人からの依頼を受け、マッケイレブの遺したメモに導かれて調査を進めていく。一方、ネヴァダの砂漠では多数の他殺死体が発見され、FBI捜査官レイチェル・ウォリング(Rachel Walling)はかつて取り逃がした稀代のシリアル・キラー「詩人」の犯行を確信する。詩人については前篇の「ザ・ポエット(The Poet)」を読了しておく必要がある。

ボッシュはマッケイレブの身にふりかかった事件を追い、やがてレイチェルと共に最大の未解決な「悪」に対峠していくことになる。本作ではラストに向かって、シリーズと外伝における別々の物語の支流が、一本の水路(The Narrows)ヘと激しく合流していくのである。

ボッシュの履歴書(13)につづく。
ザ・ポエット〈下〉 (扶桑社ミステリー)ザ・ポエット〈上〉 (扶桑社ミステリー)

More from my site

  • ボッシュの履歴書(11) 警察をやめる!?ボッシュの履歴書(11) 警察をやめる!? 2001年9月11日、同時多発テロが発生。この歴史的な大事件以降、FBIの権限は拡大され、LAPDなど各地の警察もテロ対策を強化していく。 2002年1月、犬がくわえてきた […]
  • エンジェルズ・フライト Angeles Flightエンジェルズ・フライト Angeles Flight 1999年4月、LAのバンカーヒル(Bunker Hill)にあるケーブルカー「エンジェルズ・フライト」(Angeles Flight funicular […]
  • 暗く聖なる夜 Lost Light暗く聖なる夜 Lost Light 2002年10月、LAPDを退職し私立探偵となったボッシュは、銃弾に倒れ車椅子の生活を送る元同僚からの電話を受ける。それは、ある若い女性の殺人と、その捜査中に目の前で奪われた20 […]
  • 天使と罪の街 The Narrows天使と罪の街 The Narrows 2004年4月、ボッシュ54歳。「夜より暗き闇」の事件解決から再び3年、平穏な引退生活を送っていたはずのテリー・マッケイレブが、不審な死を遂げた。私立探偵となっていたボッ […]
  • ザ・ポエット The Poetザ・ポエット The Poet 1995年2月、デンヴァー市警察殺人課の刑事であるショーン・マカヴォイが変死した。自殺とされた兄の死に、双子の弟で新聞記者のジャック・マカヴォイ(Jack […]
  • ボッシュの履歴書(13) LAPDへの復帰ボッシュの履歴書(13) LAPDへの復帰 2005年 1月、ボッシュ(55歳間近)は退職者復帰プログラムの適用を受け、3年弱の私立探偵からLAPD・RHDに復帰する。一旦は捨てたバッジだが、それを失えば、自分の人生にある […]

投稿者: heartbeat

管理人の"Heartbeat"(=心拍という意味)です。私の心臓はときおり3連打したり、ちょっと休んだりする不整脈です。60代前半。夫婦ふたり暮らし。ストレスの多かった長年の会社勤めをやめ、自由業の身。今まで「趣味は読書」といい続けてきた延長線で、現在・未来の「同好の士」に向けたサイトづくりを思い立ちました。どうぞよろしくお願いします。