ボッシュの履歴書(13) LAPDへの復帰

終決者たち(上) (講談社文庫)終決者たち(下) (講談社文庫)2005年 1月、ボッシュ(55歳間近)は退職者復帰プログラムの適用を受け、3年弱の私立探偵からLAPD・RHDに復帰する。一旦は捨てたバッジだが、それを失えば、自分の人生にあると信じる使命を果たすことができないと悟ったのだ。警察官への復帰は、作者コナリー自身の決断でもあったろう。「終決者たち(The Closers)

LA_big-city-969862_960_720RHDでは未解決事件班(the Cold Case Special Section)でキズミン・ライダーと再びチームを組み、最初に17年前の少女殺人事件を追うことになる。再捜査を進める中で、当時のLAPD上層部の圧力によって、この事件が迷宮入りしたという衝撃の事実が判明する。そしてその圧力は現在も・・・。「組織悪」がけして消え去らない中で、ボッシュらは徹頭徹尾、事実にもとづき、地道に事件の解明を進めていく。

リンカーン弁護士(上) (講談社文庫)リンカーン弁護士(下) (講談社文庫)2005年3月、ボッシュとはまだ関係を持たない次元で、ミッキー・ハラー(Michael “Mickey” Haller)のエピソードが描かれる(ノン・シリーズの「リンカーン弁護士(The Lincoln Lawyer)」)。ハラー(1965年生まれ)の父親は弁護士だったマイクル・ハラー(J. Michael Haller)であり、かれはハリー・ボッシュ(1950年生まれ)の父親でもある。つまり、ボッシュとハラーは15歳違いの異母兄弟なのだが、この時点ではまだ二人ともお互いの存在を知らない。

LA_los-angeles-805393_960_720-022006年9月、LA中心部のエコー・パーク(Echo Park)で、車に女性死体を乗せた男が逮捕された。男は司法取引により、かつて犯した殺人を自供し始めるが、その中にボッシュが追っていた13年前の未解決事件も含まれていた。「エコー・パーク(Echo Park)

 

エコー・パーク(上) (講談社文庫)エコー・パーク(下) (講談社文庫)事件を見直すなかで過去に見逃していた情報が浮上する。さらに、警察・検察を含む法執行機関のだれもが失態を重ねていくことで、大きな惨事を招き寄せる。パートナーのキズミンが瀕死の重傷を負ってしまうのである。自らの失敗に苦悶するボッシュだったが、最後にはもちろん、あざやかに事件を着地させるところが本シリーズの醍醐味である。

 

ボッシュの履歴書(14)につづく。

 

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投稿者: heartbeat

管理人の"Heartbeat"(=心拍という意味)です。私の心臓はときおり3連打したり、ちょっと休んだりする不整脈です。60代半ば。夫婦ふたり暮らし。ストレスの多かった長年の会社勤めをやめ、自由業の身。今まで「趣味は読書」といい続けてきた延長線で、現在・未来の「同好の士」に向けたサイトづくりを思い立ちました。どうぞよろしくお願いします。